お酒では「じこん」と読みます。
曹洞宗の開祖道元禅師の言葉「今、この一瞬」という意味(他にも解釈あり)で、その言葉から命名したと聞いています。

酒造りの方向性は而今のどの酒も同じベクトル上にあり、少しの違いなく造ろうとされているように思います。それゆえ米の違いが如実に現れています。
このお酒でとても心惹かれる点は、「美しくみずみずしく、凝縮されているが透明感が非常に高い」ところにあると感じます。ゴージャスで迫力ある甘味のお酒は他にもいくつか見られますが、そのバランス感が抜きんでているように思います。そしてリンゴや洋ナシの香りはしっかりと感じられるが中程度プラス程で酒質とバランスが取れており、香りから、また味から双方を想像する味わいととても良く合っています。

私は飲む時の適温を5度から7度程と低めを想定しています。酒器に少量60ccほど注いで酒の温度が上がらないうちに楽しみ、瓶のお酒は常に冷やしておくのがベストではとないかと感じます。これはゴージャスな大吟醸を楽しむ際にも当てはまります。柔らかでたっぷりとしたアタック、みずみずしく広がるクリーンな甘味、きれいでよどみの無い洋ナシや桃を思わせる香りにわずかに感じるきれいな酸が輪郭を与えて余韻に濁りなし。分子のクラスターに精神が引き込まれそうな感覚すら覚えることもありました。

木屋正酒造の大西さんが造りだす而今は、人間のスキルを磨きあげ、誤差を極限まで減らす造りに感じます。そして徹底した清潔さに対する取り組み。どの蔵でもそうではあるのですが、而今の酒造には清潔さが大変必要な事だと認識されていると強く感じ感銘を受けました。

これからも而今から目が離せません。