毎年業界内外から最も注目されている日本酒特集、dancyu日本酒特集号が発売されました。

今回の主題は「王道の日本酒」であります。
近年では味わいの多様化を踏まえて伝統銘柄から新興銘柄まで多くの銘柄が紹介される傾向にありました。ラベルに銘柄すら記入されないデザインのみのラベルであったりボトル自体にアーティスティックな装飾が施されただけの斬新な銘柄が登場したりと真新しい日本酒の登場にうきうきした気分になったり、またその一方で伝統的な日本酒のアイデンティティはどうなるのかと心配になったりしていました。

そんな複雑な思いを落ち着かせてくれるようなdancyuの日本酒特集です。
どの業界にも時代によりそのスピードと大きさの差こそあれ進化があり、日本酒業界だけ黒電話時代で止まっているわけではありません。電話を例に挙げましたが黒電話から現在のスマートフォンへの進化は目を見張るものがあります。そして同時にその時代時代にスターが出現して多くのファンを作ります。芸能界やスポーツ界に限らずこれも多くの業界で同様、多くのスターが登場してきました。それぞれにたくさんの魅力があり、思い出も多く残してくれています。

日本酒に戻りますが、70年代から新潟淡麗辛口清酒、東北の吟醸酒、無濾過生原酒、華やかな純米大吟醸酒…、一見曲がりくねった流行だけのように見える日本酒の道は、実はシンプルで頑固な哲学が息づく王道があるように見えます。本特集はそこにスポットを当てて紹介をしてくれています。

嗜好品でありますから個人の好みでよろしいのですが、少し俯瞰して日本酒を眺めてみると気づくことがあります。新たな試み、新たな発見、その連続が、歴史と伝統を作っているように考えております。

どうぞ皆様ご購読されてみてください。興味深い内容です。もちろん片手にはおいしいお酒をお忘れなく。

 

追伸、「而今」の紹介で私が書いたコメントが掲載されています。大変ありがたいことです。

依田浩毅