宮城県仙台市の北の内陸部に
「あたごのまつ」「伯楽星」を醸す男がいる。
地図で見ると結構な距離だが仙台市から
最寄りの駅古川は新幹線でひと駅12分の距離だ。
2011年の震災で蔵が全壊し川崎蔵に移転して
造りを続けている。
震災の直後新澤さんに会いに行った。
ニュースで繰り返し見たあの映像が
目の前に広がっていた。
新澤さんの蔵も、すさまじい被害だった。
それでも彼の心は折れていなかった。
それどころか燃え盛っていた。
それから4年。今年も会いに行った。
そのたびに心にエネルギーをもらってくる。
今年はダイヤモンドロール式精米機を導入し、
さらに酒質に磨きをかけていた。
おだやかな酒質。
りんごとラフランスがおだやかに香る。
しかしほんとうに輝いて透明、フレッシュ。
アフターは淡雪がそっと解けるように消える。
自己顕示とは真逆な性格なのだが存在感がある。
お料理をそっと後ろから支える、そんな位置。
伯楽星がないとお料理がフラフラしてしまいそうな、
そんな酒のように感じる。
酒販店の私もお酒で楽しく幸せな食の時間をお手伝いしたい。
うしろからそっと、お酒のある楽しい時間のお手伝い。
今年もそろそろ伯楽星の新酒が出荷されてくる。
楽しみで仕方ない。
また彼に会いに行こう。