30年ぶりに東京で開催されるすし組合の全国大会へ​依田酒店​は出展しました。
主催は全国すし商生活衛生同業組合​。昭和36年に発足し現在も約5000名が加盟している寿司店の全国組合です。毎年各県持ち回りで開催されている同大会、参加者はすべて寿司店の経営者です。全国からたくさんの寿司店の店主が集まりました。
10年ほど前の山梨大会に続き二回目の出展でしたが強く感じたことがいくつかありました。まずは平均年齢が高い。60歳では若い方ではないかと思われました。もちろん30台の若い経営者も散見されましたがそのほとんどは65~80歳くらいに感じられました。火曜日開催ということで営業されるお店が多く、若手は営業をしているため出席できなかったのではと想像しています。全国寿司連の会員数は昭和の全盛期比べると大変減少しているとのこと。回転寿司をはじめとする寿司の新業態が現れてから伝統的な寿司店は減少の一途で、酒販免許の規制緩和が行われた1990年代に一気に街にいくつもあった酒販店の多くが倒産・廃業の道をたどったことと重ね合わせてしまいます。寿司店の減少は生活様式が大きく変化してきていることも原因だと思います。しかしそれだけが原因ではないと思いますし酒販店も同様であったろうと考えます。これからも大きな変化に見舞われていくであろう寿司店や酒販店は何を大切に守り、何を変化させていかねばならないかを常に問われ続けるのでしょう。本当に楽ではない、毎日仕事をしながら毎日悩み心を悩ませ努力し続けなければならないのが私達の仕事なのだと思います。全国大会の模様に戻ります。10年前より式次第が大きく変わった感じはありませんでした。大人数の会議、近代化展というなの商社の展示会、そして懇親会。私は近代化展しか見られませんがいつも変わらぬ会社がブースを出している、そんな印象でした。大手ビール会社、海苔の会社、ワサビの会社、大手の酢の会社、生姜の会社…、変わらぬ出展者の中で私のところが一風変わったブースだったことと思います。30年以上いつもの同じ風景だったとしたら、何か学び取ることはできたのでしょうか。弊社のブースに足を止める方の多くに試飲は有料だと聞いたとたん、無料じゃないならそんな酒は要らんと言い捨て立ち去る方がいたのには驚きました。60歳以上の方に多かったように感じます。メーカーがシェア争いのために食材やお酒は何でも無料で提供されてきた、場合によっては資金提供もあった「昭和の良い時代」に経営をされてこられた方なのでしょうか。その頃の酒販店も同様ではなかったかと思い大変反省をしました。そんな中でも熱心に説明を聞いてくださる寿司店のご主人や女将さんがいたことに救われました。とても熱心で素直な方々でしたので一生懸命日本酒の大切さを伝えさせていただきました。老若男女問わず、積極的に経営の中心になっている人が積極的に参加したいと思う大会、研修会でないといけないと感じました。何年何十年も同じ式次第・内容では環境の変化についていけないばかりでなく、より良い仕事を続けていく動機が知らぬ間に低く低くなっていくように思います。私共の出展で少しでも何かが違い何かを得られた寿司店様がいらっしゃることを願っています。そうであったならば長時間立ち詰めで声を枯らせてお酒の説明をし続けた甲斐があります。自ら努力をせず楽をしてお金や物を得ようとする、そんな人間が尊敬や愛情を受けられるわけはないと、だからこそ自分は謙虚に生涯努力をし続けていこうと心の中で繰り返し思った東京大会でありました。