2月6日発売になったdancyu三月号は先月号に続いて連続の日本酒特集です。
巻頭に「王祿」を紹介しています。

モノクロの迫力ある写真とともに8ページにわたり書かれている文章に、私が初めて石原丈径さんに会った日の事が思い出された。
あれは決して最高のとか、瞬間に心が通じ合ったとか、そんな良い出会いではなかった。はっきりいえば、かなり険悪な雰囲気のものだった。
しかしそれは彼の妥協のない信念と行動からきたものだとわかるのはひと月ほど後の事になる。その時のエピソードをいつか書けたら良いなとも思うのだけれど、心に仕舞ってひとりで時々取り出すくらいが良いのかもしれない。

最近あちこちの誌面で日本酒特集をよく見かけるが(おおよそ購入して読んでいます)華やかな雰囲気に満ちていて若くはつらつとしたとても明るい誌面だ。それはそれでとても良い。とっつきやすいことはとても良い事でもある。しかしこの王祿の記事はなんだ。いきなりモノクロ写真で、闇に浮かぶ青鬼がいるじゃないか(青に見えたのは私の勝手な空想)。

これは読み応えがあった。あの石原丈径という男を、限定的であっても良く表現していると思う。こんな男が、こんな蔵元がいるんだろうかと疑問に思う方もいることだろう。多少誇張されているんじゃないか、と。だから酒の世界は凄いんですよ。実際に居るんだから。

十四代の高木顕統さん、飛露喜の廣木健司さん、獺祭の桜井博志さん、伯楽星の新澤巌さん、神亀の小川原良征さん…。
日本酒界には他にも自身の酒造りへの固い信念と逆境にもくじけない心の強さで酒を醸し、かけがえのない世界を作り上げた人たちがいる。
そんな中でも際立つ酒造りの鬼・石原丈径とはどんな男か。この特集記事から出来るだけ感じ取ってみてください。

 

石原丈径×依田浩毅=

(依田浩毅)