新入荷のワイングラス【Zalto】をご紹介いたします。

Zalto(ザルト)はイタリアのヴェネチアで創業するが14世紀初頭にオーストリアのニーダーエステルライヒ州ノイナーゲルベルグへ移転。
すべて鉛を含まないカリ・クリスタルで、熟練の職人による口吹き(マウスブロウ)製法にて一脚づつ生み出されています。

ドイツのワインマガジンSTERN誌が2009年に行ったグラスコンペティションにてこのザルトはボルドー、ブルゴーニュ、リースリングの3部門で1位という素晴らしい成績を収めました。見た目の美しさだけでなく味わいを発揮させる機能面でも一番の評価を得たザルト。目隠し手袋着用という徹底した審査でのことでした。

このコンペティションにはあのリーデル社、ロブマイヤー社、ツヴィーゼル社など世界的グラスメーカーやその社長が自ら審査に加わったうえでの結果。もう素晴らしいとしか言えません。ロバート・パーカーJr氏をはじめ世界的なソムリエやジャーナリストが絶賛するのもうなずけます。

 

さっそく自分用に一脚づつ購入、試してみました。
箱のまま持ち上げてみる。驚くほどに軽い。まるで何も入っていないかのよう。箱を開けて紙包みを取り出すと、それこそただの紙だけではと疑うほどの軽さ。
包みを解くとその繊細な姿が現れましたが、本当に、薄い、細い。こんなに華奢なステムのグラスを自分の物として持ったことがありません。よく細身の女性にスキニーという表現を耳にしますが、スキニーとはネガティブな表現だそうで、女性に向けても、そしてこのザルトのグラスにも似つかわしくありません。美しいラインと厳選された原材料・鍛え上げられた技術で生み出された、まさに美と知性と健康が宿ったような細さです。

そしてカップ部分の曲線デザインですが、24°、48°、72°に傾けられていて、これらの角度は地球の傾きに従って設計されているとのこと。
古代ローマ人が重要と考えていた角度とのことですが、それらがどう味わいに現れているのか、は残念ながら私では感じ取れませんでした。
しかしアロマは最初グラス上の一点に自然に集まってくるよう。そして豊かに広がっていく。緊張感を持って静かにグラスを運び傾けテイスティングをしてみますと、口中にきれいにワインを広げる口径と非常に薄い厚さがもたらすシャープさに、ワインはそのすべてを味わい手に伝えるようでした。
他社でも素晴らしく繊細で美しく機能的なグラスがありますが、ザルトはそれらの中にあってもひときわ輝くグラスだと感じました。

そんなグラスが食洗機に対応すると聞いてまた驚きました。
かえって手で洗うほうが危ないかも知れませんが。*一般的にワイングラスのボウルとステムの付け根は捻る力に弱い。
曇りも着きにくいそうです。まさに非の打ちどころがない。
気になる価格です。

・ブルゴーニュ 8,424円
・ボルドー 8,424円
・ユニバーサル(赤白共用)8,100円
・シャンパーニュ 8,100円
(ずべて税込:依田酒店在庫分)

お安くはありませんが、他社で同クラスのグラスを手に入れようと思ったら倍以上の金額を支払わねばなりません。厳しい審査で1位を獲得しただけでなく、見た目にも美しく高揚させてくれるハンドメイドのグラスが半額程度で手に入る。これはすごいと、そう思いました。一脚でもお試し頂きたいと強く思います。

 

ザルトを眺めていて、古代ローマ人の感性とはこのグラスに込められた「美への拘り」なのではないかと思い始めました。

(依田浩毅)